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社会人基礎力としての要約力

2010 年 6 月 28 日

社会人基礎力としての要約力

「人材育成」の第三回は「要約力」です。
前回までは、「スキル」に対する「総論」をご説明しました。今回より、その「スキル」の各論をいくつかご紹介したいと思います。

増加する「要約力」研修ニーズ

 5年前ほど前から、私は「要約力研修」というコースを実施しています。当初は「耳で情報を獲得し、言葉でわかりやすく伝える」必要のある電話対応業務のベーススキルを鍛える訓練としてコースを設計していました。しかし、いま、コンタクトセンターでは顧客対応は電話以外のコミュニケーション方法に広がっています。この5年間に急速に変化しました。したがって、コース内容もさまざまなコミュニケーションに対応するようになりました。
同時に「要約力」は社会人のビジネス基礎体力として認識されるようになってきました。最近では、コンタクトセンターを運営されていない別の業種の方の新人研修や中堅研修にもご依頼をいただきます。
今回は、その「要約力」についてご説明いたします。

「要約力」ニーズの背景

IT社会となった現代、わたしたちはさまざまな情報収集や文書の交換をデジタルで行うようになりました。そして、その操作の中でわたしたちは、文章やデータなどを抜きとり、貼り付ける「コピー・アンド・ペースト」を当たり前のように行っています。
 この操作は、大量の情報を効率的に短時間で処理し、情報の分析・加工を容易にします。メールの引用などが典型例ですね。コンタクトセンターでもメール対応をするならテンプレートを準備します。先般、常用漢字が追加されたのも、「書けなくても読めればよい」という「変換というデジタル文化」を反映したものでした。
 しかし、一方で、私たちの脳は「自ら考える」ことを放棄しはじめています。自分の考えを、自分自身の言葉で表現し、相手の同意を得ることは、ビジネスプレゼンテーションの基本です。電話応対のみならずメール対応の現場でも顧客に受け入れられる回答とは、表面的な敬語や画一的な「テンプレート」ではないはずです。「要約力」とは、相手の意図を汲み、正確な報連相を行い、顧客のニーズに応えるといった私たちの業務のベースともなるべき能力なのです。

 「要約力」とは?
uki1 「要約」する力、つまり要約力とは、「世界を切り取り、伝える力」です。膨大な情報の中から、必要な部分を抜き出し、判断や行動につながるように、情報をうまくまとめることです。
例えば、お客様からこんな話をされたらどうしますか?
「FEC電機さんですか。えっとね、先日ね、ちょっと主人がパソコンを購入したんですの。それでね、おたくのパソコンなんでお聞きしようと思ってご連絡しているんです。パソコンはね、主人だけじゃなくて息子も使うので、いつかは必要とは思っていたんですよ。主人の友人がね、おたくのパソコンが一番いいっていうので、決めたんですの。いえいえ、お礼は結構ですよ。今日はね、そのパソコンの電磁波の影響のことが聞きたくて..だってね、電磁波ってガンになるって言われているんでしょう?結局使うのは息子のことが多いはずですしね、ところが主人ったらね、電子レンジの方がよっぽど心配だっていうんです。本当なんでしょうか……」
 まぁ我ながら、辛抱強いなぁなんて思いながら、このようなお話にお付き合いした経験はコンタクトセンターでお仕事をされる方でなくてもお持ちかもしれません。主旨はといえば、「パソコンの電磁波の影響を知りたい」だけなのですが、このときは実は離婚相談までされてしまいました。(電子レンジより電磁波が強かったら離婚っていうのも乱暴な話ですが..)
このお客様のように延々と話が続くと、聞いている方も主旨がなかなかつかめません。でも、「電磁波」というキーワードを中心に注意して聴き取って私たちはお客様のご要望に沿った解答を導き出さなくてはならないわけです。このとき必要なスキルが「要約力」です。

もちろん、会話だけではありません。コンタクトセンター業務では、お客様との会話のログ(記録)やWebに掲載するFAQ、もちろんメール対応などでも、要約力が欠かせません。
会話はわからなければ、その場で確認するが、文章はそうはいきません。格好良く、コンパクトにまとめられていれば「要約」されているとは限らないこともネックになります。「必要な要素を残し、主旨や気持ちもきちんと伝達する」なおかつ「コンパクト」になっていなくてはいけないのですから、なかなか大変です。

「要約力」の重要性、おわかりいただけたでしょうか。「要約力」は円滑なコミュニケーションと、高い生産性のための万能ツールになりうるということです。

 さて、その要約力、どうやって鍛えればいいのかはまた次の機会に..


浮島由美子
Y’sラーニング株式会社 代表取締役
・埼玉県立浦和第一女子高校、私立学習院女子短期大学卒。
・2005年5月Y‘sラーニング㈱設立。代表取締役。 コミュニケーションおよびマネジメント研修を中心に活動中
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Y‘sラーニング株式会社

著者:Y‘sラーニング株式会社

http://yslearning.com/

・学習院女子短期大学卒。
・業務アプリケーションサポート業務、ネットワークの運営管理サポート
業務を経て、コールセンター、ヘルプデスクの構築、運営に携わる。
 2000年より、品質管理および人材育成を担当。
・品質管理、採用、要員教育、教育コース開発、顧客満足度調査の
結果分析を行いスキルの標準化、可視化に取り組む。
・2005年5月Y‘sラーニング株式会社設立。代表取締役
 (社)IT協会 チーフディレクター
 コミュニケーションおよびマネジメント研修を中心に活動中
・著書:「できる人の要約力」(中経出版)

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