2010 年 6 月 21 日
スクリプトが電話応対の成果を決定する ~スクリプトの基本といま~
【第三回】 解約抑止の電話応対にみるスクリプトの効果
1.利益貢献度の高い解約抑止
厳しさを増す経済状況下において、コンタクトセンターにも利益への貢献が求められていますが、新規の顧客獲得はどんな商品・業種においても容易ではありません。そんな中、注目されているのが電話応対での解約抑止です。これは、商品、サービスの解約やキャンセルのためにお電話をかけてきたお客様の話を聞き、そうした行動を思いとどまってもらうことです。
新規獲得ほどの派手さはありませんが、放置しておけば減少したであろう売上を確保するのは非常に重要な意味を持ちますし、うまくいけばクロスセル・アップセルにつなげることも可能です。そのうえ、かかる経費が少なく効率的な点も企業にとっては魅力です。
商品・サービス内容などによって異なりますが、かかってきた電話の10%後半の成功率(解約抑止率)をあげているケースもあり、事情が許せば積極的に実施し、定着させたい電話応対プログラムであると言えます。
2.ポイント1:相手のニーズをしっかりと受け止める
ここで、間違えてはいけないのは、解約抑止は、決して、無理矢理、解約を受け付けないなどいった乱暴なコミュニケーションではなく、なぜ解約へのお申込に至ったのか丁寧にお聞きするなかで、何らかの誤解や知識不足から解約を思い立った方にきちんと説明をして思いとどまってもらうことにある、という点です。
したがって、まずはお客様の話を聞き、解約の希望をきちんと受け止めることが重要です。一般的な解約抑止プログラムの大まかな流れは図のようになります。
お客様が解約を決意した理由は様々ですが、「今のサービスに満足していない」「不愉快な思いをした」「料金が払えない」など、マイナスの感情が動機になっていることが多く、また電話をしてくる際には解約という言い出しづらい内容のため、居心地の悪さを感じながら解約の申し出をしているケースも多くあります。
ですから、(1)のプロセスにおいて、まずは、「かしこまりました。ご解約でございますね。私、○○が承ります」と、お客様のニーズ(解約)をしっかりと受け止め、安心してもらうことがポイントとなります。
このとき、他の用件の時と同様、これまでお客さまでいらしてくれたこと、今回、わざわざご連絡をいただいたことへの感謝の気持ちを持ち、笑顔の声で対応することが大切なポイントです。
(1) で解約の申し出が快く受け入れられたあと、(2)で手続などについてのやりとりがひととおり完結して初めてお客様は安心し、解約理由などを話したり、こちらの話を聞いたりする余裕が生まれます。
(2) しかしながら、(1)のプロセスを確実に実施しないケースが往々にして見られます。もしも解約したい、という気持ちをきちんと受け止めず、「なぜ解約するのか」「今解約すると不利益がある」というトークに入ってしまうと、お客様の気持ちはますます頑なになりかえって逆効果になる可能性が高くなります。
3.ポイント2:解約理由の聞き方
次にポイントとなるのが、(3)解約理由のヒアリングです。最近では、解約抑止プログラムを実施するセンターも増えたことから、聞き方によってはお客様を警戒させてしまうケースも多々あります。そこで、誠心誠意、お客様の本当の気持ちを伺いたい旨をお伝えすることが何より重要になります。
ある会社では、解約手続きの説明終了後、「私どもで、何か不手際や失礼な点などがございましたでしょうか?」と解約理由をヒアリングしていました。これは、実際にいやな体験をして解約を決意したお客様に対しても有効ですし、そうでない場合は、なぜ解約を決意したかを話してもらうきっかけとなる一言でした。代表的な会話例を見てみましょう。
<ケース1> *CM=コミュニケーター
CM 「私どもで、何か不手際や失礼な点などがございましたでしょうか?」
お客様 「実はね、指定の期日に配送されないことがあったんですよ…。」
CM 「それは、大変申し訳ございませんでした…」
<ケース2>
CM 「私どもで、何か不手際や失礼な点などがございましたでしょうか?」
お客様 「そういうわけじゃないんだけど、○○社(競合)がもっと性能の良いものを
出したって聞いたから…」
CM 「さようでございましたか。実は、私どもも同様の商品を今月発売する予定です。
●●様はすでにお取引をいただいているので、割引価格でお求めいただける
んですよ。よろしければ、ご案内いたしましょうか…?」
この会社では、<ケース2>のように、「そうじゃないんだけど…」と言って、解約の理由を語ってくれる方が非常に多かったそうですが、「何か不手際や失礼な点などが…」という聞き方が有効だったことは言うまでもありません。相手の口をつい開かせるトークの好例と言えます。
もちろん、このトークがあらゆるケースに対応できるというわけではなく、業種や商品の内容によって検討する必要があるでしょう。実際、クレームを誘発するのではないか、という懸念もゼロではないため、実施には慎重な検討が必要です。
また、解約抑止の場合、単純に以前の契約を継続していただくよりも、新しい商品・サービスを紹介する方が有効な場合も多く、電話応対研修などで魅力的なスクリプトやマニュアルの開発、ロールプレイングも併せて行うと施策全体の効果が更に高くなります。











