2010 年 5 月 24 日
スクリプトが成果を決定する ~スクリプトの基本といま~
【第二回】 成功するスクリプトとは
第一回では、スクリプトの効果について説明をしました。今回からは、スクリプト作成のポイントや注意点などについて具体的に解説をしていきます。
1.難易度の高いアウトバウンド
コールセンターで扱う電話は、インバウンドとアウトバウンドに分かれ、その違いは、「発信者がどちらか(企業かお客様か)」ということにあります。インバウンドにおいては、お客様の側に電話をかけた動機(用件)があるため、基本的には用件を解決するまで会話は継続され、いかに効率よくかつ的確にお客様の用件を解決するかが重要となります。
対するアウトバウンドは、お客様にとっては「突然の電話」であり、内容を聞く前に通話を拒否するお客様が一定数必ず存在するため、話を聞いてもらうこと自体が最初の関門です。とりあえず通話の許可をいただいた場合でも、いつ電話を切られるかわからないうえに、会話の中でお客様の気持ちを高め、成約やアポイントの獲得まで持っていかなければなりません。
そうした意味で、アウトバウンドはより難易度が高いと言えます。そこで、今回はアウトバウンドコールのスクリプトを中心に成功するスクリプトのポイントについて考えてみたいと思います。
2.話を聞いてもらうには
アウトバウンドにおいて、お客様は、「誰が」「何の用件で」電話をかけてきたのか、「(自分にとって)関心のある内容か」によって会話を継続するかどうかを判断します。したがって、オープニングから慎重に言葉を選ばなければなりません。正確な名乗りは当然として、対象が既顧客(すでに取引履歴のある顧客)や資料請求者など何らかの接点がある相手なら、その点もぜひ丁寧に伝えたいものです。(「○○でお世話になっております××社と申しますが…」など)。
実際、保険などアウトバウンドに対する抵抗感が強い商品でもその一言を加えるとお客様の声の調子がガラっと変わります。また、用件の伝達(「本日は○×の件でお電話しました…」など)に関しても、簡潔かつ拒否感の少ないあるいは関心をひきやすい言い回しを選択する必要があります。
例えば、「(A案)先日、○○の資料を請求いただきました。お送りした資料だけではわかりづらい点があるかと思いますので、お電話いたしました…」というのと、「先日の資料の件について、ご説明でお電話しました」というのではかなり聞こえ方が違います。
3.アウトバウンドのポイントはお客様にしゃべらせること
このように、アウトバウンドのスクリプトでは、オープニングからクロージングまで、話の内容はもちろん言い回しの細部にいたるまで神経を使わなければなりません。しかしながら、スクリプト全体を見たときに非常に重要なポイントとなるのは、「コミュニケーターがどう話すか」ではなく、「お客様にいかに話をしてもらうか」というところです。
と言うものの、アウトバウンドのスクリプトの場合、電話をかける企業側に「話したい内容」がたくさんあるため、どうしても一方的になりがちです。これまでに多くの業種・商品のスクリプトを見てきましたが、お客様が通話を許可したとたんコミュニケーターが洪水のように説明を浴びせ、お客様は口をはさむスキもない、というパターンが少なくありません。
多くの場合、企業側が伝えたい内容はお客様にとって初めて聞く話であり、商品の名前すら知らない場合もあります。そのうえ、お客様の手元に資料がない場合は耳で聞く情報のみとなるため、正しく理解するのは至難の業と言えます。
お客様は、理解できない話に対して魅力を感じることはなく、理解した上で、「自分に合っている・必要である・魅力的だ」などと納得しなければ契約することはないのです。そのため、ある時点からお客様は興味・関心を完全に失い、「そうですかー」と返事はするものの、それは単にうわべだけで、当然フォローをしてもはかばかしい結果が得らないと思ってください。
4.質問を活用して「会話」を成り立たせる
それでは、お客様に話をしてもらうにはどうすればよいでしょうか。答えは簡単、質問を投げかけることです。コミュニケーターが話をしているときは受身でも、直接自分に質問をされれば、大部分の人は何らかの答えを返してくれるはずです。
ポイントは、最初はなるべく答えやすい質問を選ぶということです。例えば、普段多くの人が検討する機会が少ない金融商品の場合、突然の電話(アウトバウンド)で「○○様は、ご自身の資産運用についてどういったお考えをお持ちですか?」などと質問されても、すぐに答えられる人はごくわずかでしょう。
「え…」「べつに…」とさらに堅く口を閉ざされるのがオチです。それよりも、「最近、テレビで話題ですが、○○ということをご存知ですか?」など、誰にでもとりあえず返事ができる質問にするのがポイントです。
お客様が話をするのに慣れてきたら、お勧めしたい商品についての考えや需要の有無、など突っ込んだ質問を展開します。これにより、お勧めする商品についてどのような角度から説明をしたら魅力的か、阻害要因(断られる理由となること)は何かを推測することが可能になるのです。私たちの経験では、お客様が話す割合が多いコールほど成果につながりやすい、という結果も出ています。
質問を用いた会話での注意点としては、お客様が答えてくれたらしっかりと受け止めて投げ返すことです。具体的には「さようでございますか」「…なのですね」などあいづちやペーシング(オウム返し)を用いて、「あなたの話を聞いていますよ」という姿勢をアピールし、お客様の回答に対するリアクションを言葉で表現します。
また、お客様に伺いたいことがたくさんあるからと言って、「質問攻め」にならないよう配慮することも欠かせません。適切なタイミングと内容の質問を設定することで、目的達成に近づけるスクリプトを作成することができると言えるでしょう。











