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顧客中心主義の企業文化への昇華[最終回]

2010 年 4 月 14 日

統合CRMのマネジメントサイクルを回し続けながら、経営トップが目指すべき最終ゴールは「顧客中心主義の企業文化への昇華」です。

■顧客中心主義の浸透ステップ

「オペレーショナルCRM」、「アナリティカルCRM」、「顧客インサイトの経営への反映」という3つの要素からなる統合CRMのマネジメントサイクルを回すことの重要性についてお話ししてきましたが、最終回はその先の話をします。
統合CRMのマネジメントサイクルを回し続けながら目指すべき最終ゴールは、「顧客中心主義の企業文化への昇華」です。
その段階に至るまでの顧客中心主義の浸透スッテプには、大きく4つのステップがあると考えられます。

①ステップ1:未整備
顧客中心主義という経営方針が存在しない状態です。したがって統合CRMのマネジメントサイクルは回すどころか存在しません。

②ステップ2:仕組みの整備
顧客中心主義という経営方針が打ち出され、「オペレーショナルCRM」、「アナリティカルCRM」、「顧客インサイトの経営への反映」という3つの要素が用意され、何とか統合CRMのマネジメントサイクルが回り始めた段階です。
ただし、多くの従業員は、会社が決めたことなので仕方なく言われた通りの行動をしているだけの状態です。

③ステップ3:定着化
統合CRMのマネジメントサイクルが何回転か回った結果、従業員に顧客中心主義の思考・行動様式が定着化し始めます。多くの従業員が、顧客中心主義の思考・行動様式が顧客満足度の向上と自社の利益増大をもたらすことを理解し始めます

④ステップ4:企業文化への昇華
殆どの従業員が顧客中心主義の意義と効果を理解しており、会社に言われたからではなく、自らの意思で自然に顧客中心の思考・行動様式をとります。
現場で何かしらの業務改善を検討する際も、経営トップが方針を出さなくても自然に顧客中心の改善案が出てきます。
それだけでなく、顧客中心の思考・行動様式をとることを従業員が誇りに思うようになり、高いモチベーションで日々の仕事を行うことによって、顧客満足度も業務の生産性も継続的に向上するようになります。
経営トップには、統合CRMのマネジメントサイクルを回しながら、自社をこの状態に持っていくためのあらゆる努力が求められるのです。
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■真実の瞬間

スペイン語で「真実の瞬間」とは、「闘牛士が牛に止めを刺すその時」を表す言葉です。企業経営においては、「顧客接点において従業員が顧客と接するわずかな時間」のことです。スカンジナビア航空をサービス改善により経営再建したヤン・カールソン社長により普及した言葉です。
「顧客接点において従業員が顧客と接するわずかな時間」を「真実の瞬間」と呼ぶのは、そのわずかな時間は、顧客が会社全体に対する印象を形成する決定的な時間であるためです。
数秒から数十秒というわずかな時間の間に、その顧客は満足してその企業のリピーターやファンになるか、不愉快な思いをして二度とその企業の製品・サービスを利用しないかを決めるのです。
そして、いったん顧客がその企業に対して抱いたネガティブな印象を、広告や宣伝等のマス媒体を使ってポジティブなものに変えることは極めて困難です。それどころかその顧客はその企業がいかに顧客を大事にしない企業であるかを口コミで広げていきます。
まさに、闘牛の場合の牛と同じように、企業も「真実の瞬間」にその運命を決定されてしまうのです。
では、どうすればよいのでしょうか。それは、従業員一人ひとりが「真実の瞬間」の重要性を理解するとともに、実際の顧客接点において「真実の瞬間」を大切にする意識を持って顧客と接するようにすることです。
そのためには、経営トップがイニシアティブをとって職務規定や組織構造や業務プロセスを見直し、従業員が自らの判断で顧客本位の意思決定や行動がとれる環境を整備することが必要です。
経営トップが、上意下達で従業員に強制するのではなく、従業員が自らの判断で顧客本位の意思決定や行動がとれる環境を整備するという点が重要です。
主体者は、実際に顧客接点において顧客と対応する従業員なのです。経営トップの役割は、従業員に必要な環境の整備を通じて、従業員をサポートすることなのです。

■最後に
全6回のコラムもこれで終わりです。顧客中心主義という企業文化が根付き、顧客接点における全ての従業員が「真実の瞬間」を大切にし、皆様の企業が、顧客満足度という最大の経営資産をベースに長期的に繁栄することを祈念して、これで筆を置きたいと思います。
長い間のご愛読、誠にありがとうございました。



三浦直樹
イーシステム株式会社 常務取締役
慶應義塾大学理工学部卒。
アクセンチュアに約10年在籍後、ITベンチャー企業の取締役社長室長として同社を上場まで導く。2007年にCRMのリーディングカンパニーであるイーシステムに入社し、常務取締役として名刺管理サービス「アルテマブルー」事業の責任者とマーケティング担当役員を兼任。
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[2010.03.19]第5回:顧客インサイトの経営への反映
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著者:@コールセンター.JP編集部

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