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サービスイノベーションへの挑戦vo.4

第四回 

【モニタリング担当者に必要な能力】
~応対品質を評価することは、問題解決のゴールを評価することである

今回は、モニタリング担当者に必要な能力についてお話します。前回のコラムでも書いたのですが、点数をつけることがモニタリング担当者の仕事ではありません。一つの応対の中でお客様の抱える問題に対して提案したゴールが、最適であるかを評価することなのです。したがって、業務知識、専門知識の豊かさが求められることは当然のことです。しかも、「最適」であることが必要なのであって、「正解」であるとは限らないのです。お客様は百人百様ですから、それぞれのお客様にとっての「正解」、つまり「最適」であることを求めることです。サービスにおいて、知識:コミュニケーションスキルは8:2です。知識が乏しく話し方レベルばかりで応対すると、「口先だけ」「慇懃無礼」な対応となるものです。毎日、数多くのサービスを受けている顧客は、その小手先の対応には厳しいジャッジを下します。

例えば、先日、千歳空港から羽田に戻る飛行機の中での出来事です。指定シートにたどり着くなり、厚めのコートを客室乗務員の方に手渡しました。それをお願いしてもよいと言われているシートでしたので、焦って息を切らしながら飛び乗った私は、いつもどおりに手渡しました。すると、乗務員の方が、にっこり笑いながら、「こちらのコートはお預かりいたしますが、よろしいでしょうか?」と丁寧に訊いてくれました。感じが悪いとは思いませんが、その場面で顧客が欲しかった言葉は「お疲れ様でございます。お預かりいたします」だけです。これも実は経験という知識(ナレッジ)があれば、簡単にできる対応であったはずです。同様に、例えば携帯電話の解約のケースを考えてみましょう。「すみません、解約をしたいのですが・・・・」という顧客の用件に、「ご連絡ありがとうございます。ご解約のご要望ですね」と答えるのは、明らかに不自然です。まるで、解約を喜んでいるようにしか聞こえません。話し方にこだわってモニタリング評価をすると、挨拶○、復唱○、声の表情○、言葉遣い○になってしまうのではないでしょうか。忘れてはならないのは、知識が顧客対応を支える80%だということです。20%がコミュニケーションスキルなのです。

とはいえ、この20%は奥の深いプロの技術です。会社の事務所で大代表電話を受けることや、営業アシスタントとして電話を受けることとは仕事の質が異なるのです、何よりも大きなことは、一人のコミュニケータが1案件の問題解決を顧客とともに、その通話の中で実現するという「完結型の仕事」であることです。しかも「効率」という数字の中で実現するのですから、高度な顧客対応の技術が必要であることは当然のことです。したがって、モニタリング担当者は、知識はもとより、この電話を使った顧客対応の技術を習得していること、率先垂範で実現できることが求められるのです。
いろいろなコールセンターに伺いますが、この「技術」はなかなか理解されていないように感じます。そのため、私たち専門職が皆さんと同じ音源を評価すると、観点が大きく異なり、よく驚きの声をいただきます。前にもお話をしたかもしれませんが、技術点と顧客反応の2点の受け止め方に違いがあるのです。この2点はセットである必要があります。いずれかのみでは評価にはならないのです。フィードバックしても効果が上がらないとお嘆きのセンターのモニタリングの難所はここにあるのです。ですが、解決するための答えは簡単です。お客様の反応は誰が聞いてもわかるはずですから、問題はその反応に至る理由となる、知識+応対技術を評価することです。

ところが、この技術には論理性がなくてはなりません。毎回、しつこく話しているようですが、「ロジカル」であることがフィードバックを受ける側の理解度を高め、即効性のある改善を促すのです。応対技術における「ロジカル」とは、誰が聞いても、それしか答えがない、と思える事象、事実を共有し、協働して問題解決に向かうことです。例えば、「申し訳ありません。当社ではお扱いしていないんですね・・・・。申し訳ございません」という言い方をすることを謝罪の「技」と勘違いしている方が多くいます。これはお願い、懇願であって、問題解決に向けた交渉ではないのです。私たちコールセンターで仕事をする者は、常に顧客から問題解決を求められています。単なる謝罪で終わることは、顧客対応を放棄しているのと同じことなのです。以下の図のように、問題解決をするために必要な3つの力をまずは、理解しておきましょう。

問題解決力(ソリューション)を提供するには、次の3つの力が必要です。

・素早い情報(状況)判断力
・正確な情報検索力
・情報の整理、応用力

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さらに、ビジネスホスピタリティーについても理解しておきましょう。単に顧客対応技術を「おもてなしの心があればよい」「お客様の立場になればよい」という抽象的な精神論で理解することは、利益を追求する企業コールセンターの成果には遠いものです。
ビジネスホスピタリティーは単なる「おもてなしの心」ではありません。企業が提供する商品やサービスには料金が発生しますから、サービスは決して無償ではないと考えることが現実的です。応対者は、自社を選んでくださったお客様に対して、そのお客様の要望を実現し、抱えている問題を解決するプロセスをアシストすることやサポートすることが求められます。これは当然のことであり、お客様が期待する現実であるといえます。
まずは、タイムリーにそして誠実に、お客様の容貌や抱えている問題に気づくことが
必要です。ところが現実には、自社の都合で「申し訳ございません、売り切れでございます」「あいにく満席でございます」などと答えるだけで、対応を終わらせていることがあります。「お役に立つことはできないだろうか」と考え、お客様の抱える問題解決のために積極的に取り組むことが、ビジネスホスピタリティーを具現化したプロの対応といえるのです。つまり、ビジネスホスピタリティーサービスはまさにCSを実現するための基本行動であると理解しましょう。
顧客の問題解決に向けて、マインドセットと技術の2点をバランスよく評価することがモニタリングでは必要です。さらに申し上げると、応対技術に関しては、
①コンサルテーション
②ロジカルコミュニケーション
③消費者コミュニケーション
④音声表現
⑤実務表現
の5つの項目の習得が必須です。日本には、こういった電話応対技術を体系だてた教育が少ないといえます。1項目ずつでもよいので、モニタリング評価担当者は、その技術を学ぶ機会をあることからはじめてはいかがでしょうか。ただし、注意すべきことは、しつこく申し上げますが、一般的な電話応対の技術とは異なります。この点に留意して、学習を進めてみましょう。

石川かおる
K&Iパートナーズ・グループ 代表 Chief produce Officer
成城大学法学部卒業。
大学卒業後、営業職として企業に勤務。サービス人材育成プログラムの作成や新設部署の立ち上げなどを行う。退職後、幅広い営業活動、社内教育の経験を生かし、株式会社オフィス石川を立ち上げ、講師として活動。年間登壇回数は平均200回に及ぶ。財団法人日本電信電話ユーザ協会契約講師。
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著者:@コールセンター.JP編集部

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