2009 年 9 月 2 日
第一回 クレーム対応から組織デザインまで“心理学”を活かす5つのシーン
労働集約的産業であるコールセンターでヒューマン・リソース・マネジメントは重要だが、これは科学的アプローチが難しい分野だ。なかでも“心の動き”に焦点をおいた管理手法は属人的になりがちで標準化が容易ではない。本連載では、織管理や品質、育成・研修、クレーム対応、ストレスマネジメントなどに“心理学”の要素を取り入れ、マネジメントのツボを体系的に解説する。
最近は、組織・産業心理学としてのメンタルトレーニングが、企業経営やスポーツなどに積極的に導入・活用されている。コールセンターは多くの人間によって成り立ち、組織連携、リーダーシップ、顧客心理の把握やクレーム対応、ES環境、価値付け、ストレスコントロール、モチベーションアップ――といった心理マネジメントがオペレーションにダイレクトに反映する。
■■人事組織が現場に及ぼす心理的影響
連載の第二回では、組織マネジメントにみる心理学をテーマに、センターを効果的に機能させるために必要な組織イメージとオペレータへの心理的影響について解説する。具体的には、SV(スーパーバイザー)とQA(クオリティ・アシュアランス)、トレーナーの関係性とマインド、連携方法を考察し、組織マネジメントや業務への価値付けが、オペレータにどのような心理的効果をもたらすのかを検証する。また、各機関との連携やローテーションを強化することで、“人材を育成できる組織”の作り方と維持方法をメンタル面から考察する。ポイントは、機械的組織から有機的な組織へと変貌させることだ。有機的な組織が、オペレータやSVに与える心理的影響をみる。 第三回では、品質管理における心理学を検証する。ここでは、QAの役割や情報コントロール方法、業務フロー構築法、オペレータや顧客の心理の検証方法などについて解説する。例えば、オペレータのメンタリティをモニタリングから把握するには明らかなメリットがあるし、オペレータを表彰することは多大な心理的効果をもたらす。これらの効果を検証しながら、評価軸や基準、評価対象コール数、表彰制度のあり方について考える。また、顧客接点を聴く(チェック)ことから企業の施策やブランディング向上にどんな影響を与えられるかも探る。一方で、モニタリングされているオペレータの心理についても考える。「QAが機能しない」という課題をよく聞くが、この原因はオペレータやSVなどの状態をQAやマネージャーが理解していない場合が多い。オペレータ、SV、トレーナーの心理を把握することで、QAは現場で有機的に機能する。(図1:コールセンター組織と心理学の関係)
■■相手の心をつかむコミュニケーションとは
第四回では、コールセンターにおけるリーダーシップ心理について解説する。コールセンターは、集団目標を定めなければただの留守番電話とかわらない。センター運営においては、目標に向かった取り組みを管理する、つまりリーダーシップをもって組織をコントロールするリーダーが不可欠だ。SVに求められるリーダーシップ要素を考察する。総合的な能力開発法、人材育成、研修についても検証する。能力開発=研修と捉える事が多いが、前述の組織マネジメントが磐石でない限り、研修の効果は半減してしまう。能力開発の基本は自主的な啓発にある。受講者が主体的に学ぶ為のカリキュラム編成のポイントや効果的な研修について解説する。第五回は、センター内のコミュニケーションについて考察する。「周知が徹底されない」「研修やフィードバックしたのに出来ていない」といった問題があるのは、情報の送り手であるSVやトレーナーが「伝えたのに」で終わってしまうことに起因することが多い。「伝えた」だけで十分だというのは思い込みで、実際には正確に届いていないことや違う形で伝わっていることが多い。コミュニケーションのポイントや阻害される要因を心理構造から考察する。また、クレーム対応をはじめ顧客対応に関する心理を考察する。「クレームは嫌だ」「クレームに出たくない」とつい目を背けたくなるクレーム対応。だが、クレーマーの種類やタイプなどのクレーマー心理を知ることから、クレームの本質が見えてくるはずだ。男性、女性の顧客心理面から対処方法なども探る。第六回では、モチベーション管理と職場環境構築に心理学を応用する。センター管理者の多くは、「現場のモチベーションをとても大事にしている」と訴える。だが、モチベーションを上げる要因、下げる要因を明確に捉えている管理者は少ない。モチベーションメソッドは多様にあるが、そのうちコールセンターにおける活用方法を探る。職場環境構築においても心理的側面からのアプローチがある。モチベーションアップを目的にした、イベントやゲームの効果を検証する。また、顧客対応はストレスが高い業務と言われている。ストレスは生産性や離職、品質に影響を与えてしまう。ストレスマネジメントの一環として、オペレータを対象としたメンタルヘルスについて解説する。以上のように、心理的側面からコールセンター・マネジメントを改善するためのシーンを5つに分類した。次回から、各シーンにおける具体的な“こころを掴む管理術”を解説する。(図2:センター運営に活用可能な心理学の詳細)
![]() |
廣田 由章 株式会社エクセプション代表取締役社長 東京生まれ。ギタリストとして活動後、ニューヨークのジャズレーベルの運営から音楽プロデューサーを経験。 大手テレマエージェンシーにてコールセンターの品質管理メソッドをミュージックビジネスの経験値から再構築し、新しい概念… 詳細はこちらから 【最新の記事】 [2009.09.25]コールセンターにおける”分業制”とは [2009.09.02]スタッフの”こころを掴む管理術” |











