2012 年 1 月 23 日
コンタクトセンターで人を育てる6<モニタリング編>
──仕事で大切なことはすべてここで学べる──
・モニタリングは何のため?
・モニタリング結果はどのような指標と連動しているか。
・モニタリングのコストを計算する
・フィードバックに飽き飽き
・サービスからホスピタリティへ
コンタクトセンター(コールセンター)は少し特殊な世界です。
○○業界というくくりもないあいまいな業種。縦割り社会。孤立した組織。就業人口は100万人と言われていますが、正規社員が少なく、賃金レベルは低い。「あまり行きたくない世界」「あまり就きたくない仕事」と思われていることも多いようです。
人材育成は採用から教育まで現場主導、評価システムも現場で構築、業務の特殊性が汎用的なセオリーを拒みます。組織として成立し始めてから20年は経つのに、組織論も役割定義もいまだ混沌としたままです。「インハウス」運営でも「アウトソーシング」運営でも求めているのは「効率」「コスト」。それなのに、「顧客満足」「品質」も要求される難しい職場です。
だからこそ...ここで頑張る人たちにスキルがつかないわけがない!
管理者の視点からも、業務に従事する人の視点からも読めるコンタクトセンターの人材育成の解体新書をシリーズでお届します。
第六回 コンタクトセンターで人を育てる<モニタリング編>
・モニタリングは何のため?
いまさらかもしれませんが、「モニタリング」って何のためにやっていますか?
昨今、定番の品質管理手法となった「モニタリング」ですが、私がSV向けのモニタリング研修を始めた10年ほど前には、「モニタリングって何?」という「はてなマーク」が飛び交っていました。コース受講者に「モニタリングを実施されているところ」とお聞きすると、1~2割しか手が挙がりません。ところが今、同じ質問をすれば、8割以上の受講者の方が手を挙げてくださいます。
そこで、「では何のためにモニタリングをしていますか」とお聞きすると、皆さん不思議そうな顔になります。「品質管理にきまってるじゃないですか」とは言わないけど、言いたそうな雰囲気です。
さてそれでは、あらためてお伺いします。皆さんのセンターでは何のためにモニタリングをしていらっしゃいますか?あなたのセンターの測りたい「品質」とは何ですか。
そもそも「モニタリング」とは機能です。確立された手法を示す言葉ではありません。
例えば、「コールモニタリング」というのは、顧客と対応者の声を聞くことができるという機能を示しています。もちろん、そこから何をするかを含めて「モニタリング」と呼びますが..
本来「モニタリング」とは、予め設定しておいた計画や目標、指示について、その進捗状況を随時チェックすることを指します。マネジメント用語でもあり、IT系用語としてはネットワークの監視などで使用されます。介護などの医療現場でも使用される言葉です。最近では、放射能関連でのトピックで使用されることが多く、まぁ、これはうれしいことではありません。
つまりは、「モニタリング=コールの応対品質管理」と決め打ちする必要はないということです。全通話録音も普及した昨今、モニタリングはありがたい機能です。応対品質にとどまらず、VOCの分析もマーケティングも思いのまま、工夫次第です。
まずは、何のためにモニタリングをしているのか書き出してみてください。
・モニタリング結果はどのような指標と連動しているか。
KPIとして考えたとき、「モニタリング」の結果として算出される数値は、客観的ではありますが、内部での独自指標です。
結果、その数値が何に影響を及ぼしているのかは未知数です。モニタリングのスコアが伸びても「センターでは何事も起こっていない」ことだってあり得ます。
モニタリングスコアは管理指標として何らかの重点指標を支えるものでなくてはなりません。そうでないと、モニタリングという行為に価値が見いだせなくなるからです。
多くの労力とコストをかけて実施されるモニタリング、その費用対効果を皆さんのセンターではどのようにとらえていますか。
・モニタリングのコストを計算する
モニタリングの作業はSVやQAに大きな負荷をかけていることが多いものです。皆さんのセンターでは月にどのくらいのコストがかかっていますか。
「社内で行っているので特にコストはかかっていない」..なんて、言わないでください。社内工数というのは、ちょっとしたことで大きく膨らみます。見えにくいコストを意識してみてください。
例えば、「SV3名で30名のメンバーのモニタリングを毎月行っている」としましょう。
この時かかるコストはどのくらいでしょう。SVは社員としましょう。平均年収を仮に400万円とします。(少ないですか?ま、「仮に」ですからご容赦ください)通常、福利厚生費などを含む社員コストは年収の2倍といわれます。この方にかかる年間コストは800万円、つまり時給換算すると4,200円です。
1.まず、3人でカリブレーションのミーティングをしましょう。2時間かかりました。
4,200円×2時間×3名 = 25,200円
2.モニタリング作業はいくらかかるでしょうか
5分の会話を3本チェックしてコメントを書きます。一人10人担当します。
1本のチェックに、3回は聞きおこしします。コメント書きにも15分かかります。
(5分×3回+15分)×3本×10名 =15時間使います。
4,200円×15時間×3名 = 189,000円
3.フィードバックします。
面談は30分、メンバーコストはここでは時給1,800円としておきましょう。
SV=(4,200円×30分×10名)×3名 = 63,000円
メンバー=1,800円×30分×30名 = 27,000円
合計額は304,200円ですね。上記はきっとミニマムな予測です。定時内に滞りなく作業が終了しても上記の金額がかかるということです。
SVを3名置いて、30名のメンバーで運営されるセンターの売り上げは果たしてどのくらいでしょうか。許される全体コストはいくらでしょう。そのコストに見合う結果は得られていますか。
・フィードバックに飽き飽き
モニタリングのもう一つの問題点はフィードバックの有効活用でしょう。皆さんのセンターでは有効に機能していますか。
「モニタリングの目的」の定番は個人への「評価」でしょう。結果として、フィードバック面談がつきものということになります。
評価項目の良しあしもさることながら、3ヶ月に一回(センターによっては毎月)行う「面談」ではどのくらいの効果が得られていますか。
よく、「先月も同じことを言われた」「女優になれとか言われても無理」「もう話すことがない」「何度言っても同じところが直らない」..など、SV、メンバー双方から愚痴ともつかないつぶやきが聞こえてきます。
目標管理に基づいた有効な面談をしなければ、「モニタリングフィードバック」もコストの無駄でしかありません。
メンバーとのコミュニケーション手段ととらえているケースもありますが、コミュニケーションをとるために「モニタリングスコア」を机の上に置くことは、本当に有益でしょうか。
・サービスからホスピタリティへ
モニタリングは内部品質管理です。その評価項目はセンターが独自に決めることができ、いつでも変更することが可能です。トレンドが移り変われば、項目もまた内容、基準とともに見直されてしかるべきです。
コンタクトセンターに顧客が求めるものは「サービス」から「ホスピタリティ」に移りつつあります。顧客に奉仕する「サービス」から、顧客をもてなす「ホスピタリティ」にシフトしているということです。これは、変化というより「加算」です。
「いかに顧客の気持ちを察するか」「顧客の要望に応えるか」というサービスマインドに加え「主体性をもって顧客を喜ばすことができるか」というホスピタリティマインドが必要となったということです。
評価項目は一般論や常識論から「企業のポリシーを体現する個別論」へ移っています。声の高低や速度、敬語や口ぐせのチェック、スクリプトの遵守や美しいクロージング、これらに加えて企業マインドをどう発揮するか、どう表現するかが問われる時代になりました。
第七回は<やる気編> 気になる「モチベーション」をひも解きましょう。










